公的機関による精子提供
厚生労働省の「厚生科学審議会生殖補助医療部会」では、精子バンクや精子提供を利用できるのは「子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない法律上の夫婦に限る」という条件を設けています。
つまり、夫婦関係にある男性パートナーがいない女性(未婚の女性やレズビアンカップルなど)は公的な精子バンクや精子提供を利用することは出来ません。
また、精子の提供者は満55歳未満の成人で、匿名でなければならないという条件もあるため。提供を受けられたとしても生物学上の父親を知ることは出来ません。
AIDの妊娠率は2~3%と非常に低値な上、ドナー不足で順番待ちが非常に多いことから深刻な問題になっています。
最近では非配偶者間人工授精(AID)による不妊治療を長年実施してきた慶応大病院も新規患者の受付を停止しました。
非配偶者間人工授精(AID)について(慶應義塾大学 医学部)
提供精子の治療受付停止 (日本経済新聞)
このような現状から、医療機関を通さずに精子提供者を探して精子の提供を受ける方も少なくありません。
個人による精子提供
日本では個人による精子提供に関する法律が無いため、意欲と行動力があれば誰でもドナーになることが出来ます。
HPやSNSを使用して多くの方が提供活動を行っていますが、共通のガイドラインが無いため方法や方針はバラバラです。
性病や精液の検査をしていなかったり、金銭を要求したり性行為を強要するなどといったトラブルも起こりかねない状態と言えます。
例えば、NHKのクローズアップ現代で取材で明らかになったケースでは「ある提供者は一部の感染症検査しかしておらず、肝炎や淋病の検査をしていなかった」という実例がありました。
徹底追跡 精子提供サイト(NHK クローズアップ現代)
シリンジ法でもタイミング法でも精液を体内に入れるため性感染症の感染リスクがあります。
性感染症による母体や胎児への影響は大きく、母子感染に至る可能性もあります。
このようなリスクに対する理解と対策も必須です。
>>精子提供に潜むリスク
>>提供者の選び方
現状を改善するための活動
精子提供 関西ではこのような現状を改善し、より安心・安全な精子提供を行うことを目的としています。
また、近年問題視されている「子供が生物学上の親を知る権利」についても真剣に考えています。
詳しくは下記をご覧ください。