学力やIQは遺伝するのか?

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精子提供のドナーを探す上で学歴を気にする女性や、学歴を誇示するドナーの方がいますが、学力やIQの遺伝については研究に時間と労力が必要なことからあまり進んでおらず、現代でもわかっていないことが多い分野です。
精子提供 関西では以下の理由から「提供者の学力よりも家庭環境が重要」であると考えています。

 

遺伝するという研究結果

米国南カリフォルニア大学(University of Southern California)のダニエル・ベンジャミン(Daniel Benjamin)教授らが、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載した論文では、高学歴あるいはあまり学歴がない人について、遺伝子を調べ、その結果、人の学歴をある程度決定する74の遺伝子を特定し、「学歴はこれらの遺伝子にどのような変異があるかで決まる」と結論づけました。

ただし、「遺伝子が学歴に与える影響は、食生活や家庭環境、機会などの環境要因と比べるとごくわずかで、その割合は0.5%にも満たない」とも記載されています。

 

気質は父から、学力は母親からのみ遺伝する

「頭の良さは母親からしか遺伝子ない」という説があり、現在はこれが最も有効です。
父親の遺伝子は大脳辺縁系という、気分や本能を司り、攻撃性を制御する脳部位に影響と考えられています。
一方、母親の遺伝子は、記憶、思考、音声、知覚などの認知機能を司る大脳皮質に影響することから、「いわゆる"知性"に関わっている遺伝子は、母から子に受け継がれた時のみ機能する」ということになります。

したがって、父親からは性格や気質を、母親からは学力や知性を遺伝によって引き継ぐ可能性が高いということになります。

 

母親から受ける影響

文部科学省が発表した「親の学歴と中学3年生の数学の問題の正答率に関するデータ」では、「高卒父親」の場合、正答率は44.1%だが、「大卒父親」だと56.5%。「高卒母親」では43.3%で、「大卒母親」は60.0%であり、これを見ると、母親の学歴のほうが父親の学歴よりも、子供の学力に対する関係がより深いということになります。

このデータでは同時に「子供が家庭で最も多く接するのは母親であり、教育を受ける機会が多いため、母親の学力が子供の学力に与える影響が大きい」という見方もできます。

つまり、高学歴な父親の遺伝子を求めるよりも、母親が勉強して子供に教育する方が遥かに有効であるといえます。

 

学力が遺伝するという噂の真相

どの研究結果でも共通していることは「子供の学力は遺伝子による影響よりも、生まれてからどのような環境で育つかが何よりも重要である」ということです。

自発的に勉強してきた両親であれば、その勉強法や心構えを子供に教育することもできます。
また、両親が安定した職について高収入であれば、塾や教材などの教育に必要な費用を出しやすく、学力向上につながります。

しかし反対に、どんなに優秀な遺伝子を持って生まれても、持った疑問を両親に聞いて答えてもらえなければ学力は伸びません。

両親が賢いから子供も賢いという傾向は、遺伝ではなく、家庭での教育環境が優れているからなのです。

勉強熱心な習慣や何のために勉強するのかという考えは文化として引き継がれていきます。
まずは子供のモチベーションを、次に家庭で行う教育について深く考えていくことが、遺伝による影響を考えるよりも遥かに大切なことです。

 

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